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定期同額給与の減額変更の留意点

役員給与の減額が認められるときは?

法人役員に対する報酬は一般の従業員と異なった取扱がなされています。一般的によく知られているものは「役員給与は定期同額」という点ですね。しかし、定期同額であっても減額が認められるケースもあります。今回は役員給与を減額する際のポイントについて解説します。

1 役員給与は原則損金不算入

 法人が役員に対して支給する給与は原則として法人税法上の損金の額に算入されません。しかし、法人税法上定められた定期同額給与、事前確定届出給与又は利益連動給与に該当する場合には、損金の額に算入されます。

 ① 定期同額給与とは、1か月以下の一定の期間ごとに支給時期が定められ、各支給時期における支給額が同額のものをいいます。

 ② 事前確定届出給与とは、予めその役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨を所轄税務署長に届出をしているものです。

 ③ 利益連動給与とは、同族会社以外の法人が業務執行役員に対して支給する一定の利益連動給与をいいます。

 同族会社において、役員に支給する給与は上記のうち定期同額給与が一般的ですが、当該事業年度において、

  1. 役員の職制上の地位の変更
  2. 重要な職務内容の変更等、やむを得ない事情によって定期給与の額を改定した場合、
  3. 或いは、経営の状況が著しく悪化したことにより定期給与の額を改定した場合には、

当該事業年度開始の日から改定まで、改定後のからその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額である場合には、定期同額給与に該当することとなります。

 この“経営の状況が著しく悪化したこと”とは、どのような場合であるかが問題となります。

2 経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由について

 法人税法施行令69条1項の定期同額給与に該当する「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、法人税基本通達9-2-13において、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいい、

財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕したことだけではなく、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいうのであるから、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれないことに留意する、とし、国税庁のQ&Aでは、具体的に次のような場合の減額改定は、業績悪化改定事由による改定に該当すると記載しています。

 ① 株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合

 ② 取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合

 ③ 業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合

 上記①については、株主が不特定多数の者からなる法人であれば、業績等の悪化が直ちに役員の評価に影響を与えるのが一般的であると思われますので、通常はこのような法人が業績等の悪化に対応して行う減額改定がこれに該当するものと考えられます。

 一方、同族会社のように株主が少数の者で占められ、かつ、役員の一部の者が株主である場合や株主と役員が親族関係にあるような会社についても、上記①に該当するケースがないわけではありませんが、そのような場合には、役員給与の額を減額せざるを得ない客観的かつ特別の事情を具体的に説明できるようにしておく必要があることに留意してください。

 上記②については、取引銀行との協議状況等により、これに該当することが判断できるものと考えられます。

 また、上記③に該当するかどうかについては、その策定された経営状況の改善を図るための計画によって判断できるものと考えられます。この場合、その計画は取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保することを目的として策定されるものであるので、利害関係者から開示等の求めがあればこれに応じられるものということになります。

 上記に掲げた3事例以外の場合であっても、経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情があるときには、減額改定をしたことにより支給する役員給与は定期同額給与に該当すると考えられます。この場合にも、役員給与の額を減額せざるを得ない客観的な事情を具体的に説明できるようにしておく必要があります。

 なお、業績や財務状況、資金繰りの悪化といった事実が生じていたとしても、利益調整のみを目的として減額改定を行う場合には、やむを得ず役員給与の額を減額したとはいえないことから、業績悪化改定事由に該当しないことは言うまでもありません。

(注)事前確定届出給与(法法34①二)に係る業績悪化改定事由(法令69③二)についても、同様の取扱いとなります。

[関係法令通達]

 法人税法34条1項

 法人税法施行令69条1項

 法人税基本通達9-2-13

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